太
太田璃音さん (8i41afur)2023/1/19 13:20 (No.673801)削除「学ぶことの本当の意味とは___」
外山 滋比古,前田 英樹,今福 龍太,茂木 健一郎,本川 達雄,小林 康夫,鷲田 清一『なんのために「学ぶ」のか 中学生からの大学講義1』(2015年、ちくまプリマー新書)
「大事なのは知識じゃない。正解にない問いに直面したときに、考え続けるための知恵である。」
勉強というと私たちは大抵「知識を得ること」を想像するだろう。しかし、それは旧式の考え方であり、本当に必要なのは知識を覚えることではなく「考える力」だ。知識はその手助けに過ぎない。本書はタイトルのとおり「なぜ学ぶのか」をテーマに複数の著者が、学ぶ意味について論じるオムニバス形式になっている。複数の著者がいるからこそ、自分が納得のいく答えを導いてくれる人がいる。また、中学生向けの本であるため読みやすい。個人的には、茂木氏の「やる気の出し方」の項目が、非常に深く刺さり参考になった。私は自分の好きなこと以外をやるのは苦痛で、全くやる気がでず後回しにしてしまう癖がある。最後までやる気がでないまま杜撰な内容のものを出したり、〆切を過ぎることも屡々だ。その度に「何故やる気がでないんだ、人間のド屑め」と考えるがどうやる気を出すのか、どう動けばいいのか分からずに次も失敗してしまう。そんな状態から抜け出すヒントが書かれていた。この章では脳の仕組みに基づいて、学習と快感のメカニズムが解説されている。脳はドーパミンが分泌されたとき、どんな行動をとったか覚えている。その際脳のネットワークが繋ぎ変わり、ことあるごとにその快感を再現しようと自発的に繰り返すようになるという。それを逆手にとってやる気を引き出すには、目標を少し高めに見積り、失敗を繰り返しながら解決するというもの。こうすることで人は努力の仕方を覚えるという。この本は義務教育を終えて勉強が強制されない、学びの取捨選択を自由にできる大人にこそ読んでもらいたい。学びの原点、勉強についてどう向き合っていくべきか考えさせられる本書は、学びを有意義にしたいけどやる気が出ない、意味がないと思う勉強を強いられていると感じる人に読んでもらいたい一冊だ。(789字)