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髙橋春樹さん (8hjyfbyy)2023/1/28 00:40 (No.683010)削除既成概念の崩壊を――矢部宏冶『知ってはいけない 隠された日本支配の構造』(講談社現代新書,2017)
統治行為論。多くの人が高校時代に授業で学び、聞いたことがあるだろう。統治行為論は、「『国家統治の基本に関する高度な政治性』を有する国家の行為については、法律上の争訟として裁判所による法律判断が可能であっても、高度の政治性ある事柄に関しては司法審査の対象から除外するという理論」(Wikipediaより引用)であるとされている。簡単に言うならば、自衛隊などに対して、最高裁は違憲などの判断を下すことはないと捉えても良いだろう。
こんなもの、「ただの思考停止ではないか?」とも思うだろう。実際に過去の私もそう感じていたからだ。しかし、その思考停止の裏には、戦後から日米間で決められていた「密約」が存在する。本の中で紹介されているもので特に重要なものは「日米安保条約」に関わるものだ。今まで学校や世間一般で聞いてきた常識が覆るような「密約」が存在し、それは今でも効力を持ち続けているのだという。
本書では「『それはすでに米軍の上級司令官(太平洋軍司令官)が決定したことなので、日本政府が承認するかどうかという問題ではない』などとストレートに発言しているケースもあるのです」(p.98,ℓ12-14)と書かれている。実際その後に例示されている、2012年の普天間基地へのオスプレイ配備にて当時の野田首相の「オスプレイの配備については、日本側がどうしろこうしろという話ではない」(p.99,ℓ3)という発言が国民の怒りを買った件。この発現も思考が停止しているように思えるが、「密約」があるためにそうならざるを得ないのだという。
他にも、日本国憲法の草案はGHQによって書かれたものであり、それについての言及を差し押さえたりなど、不都合な出来事と読み取れるものを隠したりなどのいわゆる「ブラックボックス」について多く書かれた本である印象を持った。鵜呑みするも良し、「陰謀論ではないか?」と疑いかかって読むも良いだろう。少なくとも読み終えた時、あなたの思考は止まっていることはないと言える本だ。(843字)(最終版)