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早坂澄空さん (8lzym4ni)2023/1/27 15:16 (No.682483)削除
What do you think “kawaii”? ――四方田犬彦『「かわいい」論』(筑摩書房、2006年)

 皆さんはかわいいという言葉をどれぐらいの頻度で発するだろうか。猫、犬、ぬいぐるみ、小さい子供、意地っ張りな女の子、丸い石、テレ顔の男の子、女の涙エトセトラ。あらゆるものに対して脳死で「あーかわいい」と言ってしまった経験、皆さんはあるだろうか。今この瞬間もかわいいという言葉は世界で溢れている。
 この本は日本から発信された「かわいい」という言葉が世界でたしなまれている姿を間近に見た著者が、なぜこんなにも「かわいい」が広まっているのか分析していく話だ。著者の四方田犬彦は宗教や文化などを学び、明治学院大学教授として映画史の教鞭を執っている。この本は、様々なコンテンツに通ずる彼こその様々な切り口で「かわいい」について語られている。九章に分けられており、著者が「かわいい」に出会い・認知するところから、文豪太宰治が「かわいい」をどう描いたか、E.T.は本当に「かわいい」のか、男女の「かわいい」の認識の違い、「萌え」について、海外で広まっている「かわいい」文化についてなど様々な視点からの「かわいい」について知ることができる。
 第三章では実際に大学生に「かわいい」についてアンケートをとっている。アンケート内容はなにをかわいいと思うか、かわいいと言われたことはあるか、かわいいと呼ばれたいかなどが問われている。なにをかわいいと思うかの違いが面白く、おじさんになったらかわいいと呼ばれたいという男子や、自分が下に見られているような気がするからかわいいと呼ばれたくない女子など、「かわいい」に対しての多様な意見を見ることができる。
 17年前の本のため今とは少し感覚が違いおや?と感じる描写あったが、自分の考えとの違いを比較することも楽しめる本だ。様々なコンテンツのことに触れているため、文化論やコンテンツ論に興味のある人には特におすすめできる本だ。(827文字)(最終版)
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浅倉壮志さん (8hn35llv)2023/1/27 14:50 (No.682441)削除
美化された過去 ――パオロ・マッツァリーノ『「昔はよかった」病』(新潮新書、2016年)

 「まったく最近の若者は」「昔はもっと良かった」、そんな言葉を貴方は言われたことはありますか?
言われたことはなくてもそれに近い言葉は聞いたことがあるはずです。この「昔はよかった病」について、この本では火の用心などの文化の話からコーラとウーロン茶や人情の話まで多くの「昔はよかった」について著者のパオロ・マッツァリーノが主観やデータを交えながら面白おかしく紹介、解説していきます。

この本がたくさんの例えを通して言いたいことは、「昔はよかった」なんていうのは、美化された思い出に浸っているだけで今も昔もそんなに変わっていないということです。
第1章では、現在でも一部の地域でしている火の用心という文化に着目していました。現代人が火の用心は迷惑だというが昔は違ったというのに対し、昔の雑誌などを調べ夜に大きな音を出すのは昔から迷惑している人がいたことを書いていました。

人の記憶は美化されるもの、そんな幻想をラフな物言いで破壊してくる著者の勢いは、他の本では見たことのない面白さがありました。また、この本はただ昔はよかったなんていう人たちを否定するだけの内容ではなく、「昔はよかった」なんて言葉はどの時代にもあったということを教えてくれます。
思い出してみてみると私にもあの頃は楽しかったなんて小さいころを振り返っていたような気がします。今「昔はよかった」なんて言っている人も、自分より年上の人から「昔はよかった」を押し付けられていたし、これから先では、私たちが「昔はよかった」を押し付けているかもしれない。その可能性を考えながら読んでみると、「昔はよかった」ではなく「今も昔もいいところがある」という新しい見方ができました。
この本の構成は章ごとに違う「昔はよかった」を出しては否定していく短編集のような構成をしているので、見たいときにぱっと開いて読める本でした。また、触れる内容も少し際どい部分にも触れていて見ている方がワクワクしながら読めるので是非読んでみてください。(829字)
返信
小林奈菜子さん (8hk1tkzn)2023/1/27 14:36 (No.682424)削除
自分だけのハッピーエンドをーー若桑 みどり『お姫様とジェンダー:アニメで学ぶ男と女のジェンダー入門』(ちくま新書 2003年)

 「幸せとは結婚し家庭をもつこと。」
 現代において、それだけが幸せではないという人が増えつつある中で、未だに結婚への憧れは輝かしく、世間に溢れている。なぜこれほど結婚が幸せの定義として私たちを取り巻いているのか、ディズニープリンセスからその根源と、ジェンダーとはなんなのかを探る。

 まずジェンダーとは、文化的・社会的につくられた性差であり、広汎な領域をもつ思想。いわば、性差による「ものの見方」である。
 著者は、東京芸術大学卒業後、女子大でジェンダーの教鞭を取っていた。1935年生まれで、戦後の日本を生きた彼女は社会に出て働く女性に向けられた厳しい目を知っている。そんな著者が生徒たちと授業で、プリンセスアニメに対し双方から意見を述べ合う形式で本書は構成されている。
 題材は白雪姫、シンデレラ、眠り姫である。3作とも美しく、働き者な女性が主人公で、王子様と結婚しハッピーエンドを迎える。まとめると、女性は美人で気立てが良く、家事に勤しんでいれば結婚という幸せが得られるということだ。これは「家事は女の仕事である」「結婚こそが幸せだ」という刷り込みで、夢を見せるアニメがこれでは、幼いながらに決めつけられた女性像の暗示にかかってしまう。それでも尚、大量にプリンセスストーリーが消費されるのは、家父長制(社会や家庭で男性が中枢の権力を握ること)の影響が大きいだろう。男は仕事、女は家庭というような固定的な役割分業の仕組みを浸透させるのにプリンセスストーリーはうってつけだったのである。加えて結婚コンテンツでは「素敵な結婚」だとか「母になれない不幸な女」と囃し立てる。こうしたものが女性を家庭に閉じ込める風潮として国が築いてきたものだ。
 また、男性に関してもジェンダー的見方が必要だ。王子でも桃太郎でも、男性は自分でアクションを起こし、幸せを掴みにいかなければならない。「男らしさ」という名目で個人の性質に関係なく、逞しさや責任感を求められる。

 互いに「らしさ」に縛られず、自由に生きるため、ジェンダーの知識を得るべきだ。そして本書はまさしく入門に相応しい一冊だ。
(870字)最終版
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沼田りんさん (8ho1qpjs)2023/1/27 14:34 (No.682418)削除
「わからない」に立ち向かう――長谷川裕子『「なぜ?」から始める現代アート』(NHK出版、2011年)

「現代アートはわからない」そう感じる人は多いだろう。私もそのうちの1人である。この本はそんな現代アートの外でバリアを張ってしまっている人のための入門書である。2011年までに出された現代アートの有名どころについて網羅的に書かれており、初心者に適したラインナップになっている。また、著者の長谷川裕子は国内外で活躍する学芸員であるため、プロの視点から現代アートをみることができ、鑑賞方、時代背景、作品のもつ意味を知って現代アートについて知ることができる。この本は興味がありながらも、まだ一歩を踏み出せていない人におすすめの本である。

 特に興味を引いたのは、エルネスト・ネトの「ヒューマノイド」という作品について紹介している部分である。布や糸のような繊維や、ゴム、脂肪などの柔らかい素材を使用して制作された彫刻や立体作品のことを指すソフトスカルプチュア兼ソファの作品である。すっぽりと中に入って座ったり、そのまま背負って歩いたりすることができるため、まるで自分の体の一部になった様に感じることができる。著者が言うにはこんなにもシンプルなことで、解放させられるのかと思う程私たちは疲れていることに気付かされるという。この経験から著者は「どうしてこんなにも疲れているのでしょうか?」と言う「なぜ?」を生んだ。
 そして、固い椅子や四角いビル等、私達の体を取り巻く環境が形や素材に固定観念があり、知らないうちにコントロールされていることに気づく。自然の中にはまっすぐな線や直角はないのに、元来の環境と異なっていることがストレスの原因になっていることに気づいている。
 この様に、一つの現代アートから生まれた自分自身の「なぜ?」について考えると現代社会と繋がり、最終的に抱えている問題に気付かされる。つまり、現代アートとは様々なものやことをつなぐ「隙間装置」であると言えるだろう。

「現代アート」という未知の存在に対して様々な「なぜ?」をぶつけ自分なりの答えを立ち止まって考えてみることで現代アートが身近に感じることがきっとできる様になるだろう。
(863)(最終版)
返信
中川結菜さん (8hk0l1ap)2023/1/27 14:33 (No.682415)削除
運命は己で切り開くもの――若桑みどり『お姫様とジェンダー アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門』(ちくま新書、2003)

 ジェンダーという言葉をよく耳にするだろう。だが、言葉は知っていても、どういうものかわからない人も多い。簡単に説明すると、「生物学的な性差」(オス、メス)の上に文化的、社会的、政治的、かつ心理的な性差の構造を築き上げてきたことをジェンダーと言う。本書は、著者が2001年から2002年かけて川村学園女子大学の人間文化学部生活環境学科で教えたジェンダー学の講義をもとにした、ジェンダー学入門書となっている。中身は単純な構成で、「白雪姫」「シンデレラ」「眠り姫」のディズニーアニメを見て、学生と教師が双方向で意見を述べ合う形式である。
 女の子向けの童話には共通する構造がある。女の子は自分で幸福を掴み取る努力などを一切しなくても、人の言いつけを聞いて「すなおに」そしてキレイでさえあれば、白馬に乗った王子様が幸せをもたらしてくれるという物語だ。男の子向けのおとぎ話が、自分で何らかのアクションを起こし苦難を乗り越えて成功する物語であるのとは対照的だ。私たちは「女はこうあるべきだ」「男はこうしなければならない」といったことを幼い頃から刷り込まれているのだ。
 確実に人類は進歩して、すべての人間の平等の権利が今は前提である。そして著者たちのような教育者は、若い女性たちを目覚めさせ、自分で自分の状況を改善していく意識を与え、その力を与えるために全力を尽くしている。しかし、それだけでは決して目覚めはこない。最初から無理と知っている女性は、「寝たきり女性」になって生涯を終えるだろう。だから、教育と社会の双方が男女の共生できる世界を作るように助け合っていかなければならない。
 本書を読むと、凝り固まった思考がほぐれていく感覚になる。また、多くの学生の感想や考えを読む事ができるため、自分にはない新たな視点や考え方を持てるようになる。誰でも知っているプリンセス・ストーリーを取り上げているため、楽しみながらジェンダーが学べる本であり、現実と向き合うきっかけにもなる一冊だ。(877字)(最終版)
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外石豊さん (8hjyqclq)2023/1/27 14:27 (No.682407)削除
反リーダーシップ  鷲田清一『しんがりの思想 反リーダーシップ論』(角川新書、2015年)

多くの人がリーダーになりたがっている組織は崩壊する。右肩下がりの社会である昨今、リーダーシップを育む事が重視されている。多くの人がリーダーになる事や、能力の高いリーダーを望んでいる。そんな風潮の問題点やリーダーの真の在り方を、大阪大学の名誉教授を務め、京都市立芸術大学の理事長・学長などのリーダーというポジションを経験した鷲田清一が解き明かす。 
NPO法人や教育機関などの、一つの目的のためにあるわけでない組織では、リーダーという存在への権力の集中は個々のパフォーマンスを低下させる。また、結集力としなやかさを併せ持つ集団には縁の下の力持ちや裏方といった役割が必要であり、みながリーダーになりたがる集団はすぐに潰れる。ここで、リーダーの在り方を見直す必要がある。
そこで、リーダーは「しんがり」になる必要がある。「しんがり」とは登山のパーティで最後尾を務める。経験と判断力と体力にもっとも秀でたひとがその任に就く。一番手が「しんがり」を務め、二番手が先頭に立つ。そしてもっとも経験と体力に劣る者が先頭の真後ろにつき、先頭はそのひとの息づかいや気配を背中で伺いながら歩行のペースを決める。要は「しんがり」だけが隊列の全体を見ることができる。全体のケア、各所への気遣いと、そこでの周到な判断こそ、リーダーが備えていなければならないマインドである。
政治や企業活動と地域社会の違いは、専従のリーダーがいないことである。社会が縮小してゆく時代では、先頭で道を切り拓いてゆく人よりも、最後尾でみなの安否を確認しつつ進む登山グループのしんがりのような存在、退却戦で敵のいちばん近くにいて、味方の安全を確認してから最後に引き上げるような「しんがり」の判断がもっとも重要になってくる。
この国は本気で「退却戦」を考えなければならない時代に入りつつある。そのときリーダーの任に堪えうるのは、もはや「引っ張っていく」タイプのリーダーではない。ダウンサイジングの時代に求められるのは「しんがり」のマインドである。この国を下から支える人が増えるよう、全ての日本人にこの本を手に取って頂きたい。(878字)(最終版)
返信
菅原羽南さん (8k1s7udc)2023/1/19 08:44 (No.673566)削除
インタビューの舞台裏 ーー永江郎『インタビュー術!』(講談社現代新書、1627年)

「世界はインタビューでできている。」
現代のテレビ番組や新聞や雑誌も、その多くはインタビューによってできている。インタビューそのものが番組や記事にならなくても、そのベースにあるのは人に聞いた話だ。人の話を聞き、集め、整理・分析し、考え、まとめることによって番組や記事ができる。
インタビューがどのように行われ、私たちの身のまわりにある情報がどう作られているかがわかれば、メディアへの接し方もわかってくる。自分で考えて行動するためには、インタビューのことをもっと知らなければならない。
 本書はインタビューを「考える、する、読む」の三視点から読み解くことができる。前半部はインタビューに向かうまでの下準備からはじまり、タイプの違うさまざまな話し手からどのように話を聞き出し、そしてそれらをどのように構成して記事として形にするかなど、インタビューをする側のテクニックについて書かれている。また後半部は、過去に出版されたさまざまなインタビュー記事を例として取り上げ、著者がそれらについて推理・分析するという形をとっている。著者は「哲学からアダルトビデオまで」を標榜するフリーライターとして知られており、現在もインタビューや書評を中心に取材・執筆活動を行なっている。本書はそんな彼の仕事の舞台裏を垣間見れる一冊となっている。
 私たちは日々さまざまな人と関わり、何かを考えながら生活している。人から話を聞く(会話する)。自分の心を自分で聞く(考える)。日々がインタビューの連続のようなものだ。その過程で事実が良い意味でも悪い意味でも脚色され、本人の言葉ではないまま広まっている可能性もある。
「見えることが全ては限らない。」
自分の経験に基づく事実以外、つまり世の中に出回っているインタビューに基づいた話は全て疑ってかからなければいけない。そう考えると本書は、本書は単なるインタビューのHow to本ではなく、コミュニケーションのHow to本としても読むことができるかも知れない。
(822字)
蒼穹の竜さん (8hk0l1ap)2023/1/20 14:23削除
前半部と後半部の説明を入れているため、本の流れや大体の内容がわかり良かったです。最後の段落で「本書は」を2回繰り返してしまっているため、1回にした方が良いです。全体的にまとまった文章になっていると思います。
銀燭さん (8hjytxx7)2023/1/20 14:42削除
前半後半に分けて説明されていることで概要が掴みやすいと感じました。「」で台詞の抜き出しやキーワードが強調されていて、文章に入り込みやすいです。「本書は」が繰り返されている部分があるので、修正するといいと思います。出版年が1627年とあるのですが、検索したところ初版発行が2002年のようです。
菅原羽南さん (8k1s7udc)2023/1/21 01:18削除
インタビューの舞台裏 ーー永江郎『インタビュー術!』(講談社現代新書、2002年)

「世界はインタビューでできている。」
現代のテレビ番組や新聞や雑誌も、その多くはインタビューによってできている。インタビューそのものが番組や記事にならなくても、そのベースにあるのは人に聞いた話だ。人の話を聞き、集め、整理・分析し、考え、まとめることによって番組や記事ができる。
インタビューがどのように行われ、私たちの身のまわりにある情報がどう作られているかがわかれば、メディアへの接し方もわかってくる。自分で考えて行動するためには、インタビューのことをもっと知らなければならない。
 本書はインタビューを「考える、する、読む」の三視点から読み解くことができる。前半部はインタビューに向かうまでの下準備からはじまり、タイプの違うさまざまな話し手からどのように話を聞き出し、そしてそれらをどのように構成して記事として形にするかなど、インタビューをする側のテクニックについて書かれている。また後半部は、過去に出版されたさまざまなインタビュー記事を例として取り上げ、著者がそれらについて推理・分析するという形をとっている。著者は「哲学からアダルトビデオまで」を標榜するフリーライターとして知られており、現在もインタビューや書評を中心に取材・執筆活動を行なっている。本書はそんな彼の仕事の舞台裏を垣間見れる一冊となっている。
 私たちは日々さまざまな人と関わり、何かを考えながら生活している。人から話を聞く(会話する)。自分の心を自分で聞く(考える)。日々がインタビューの連続のようなものだ。その過程で事実が良い意味でも悪い意味でも脚色され、本人の言葉ではないまま広まっている可能性もある。
「見えることが全ては限らない。」
自分の経験に基づく事実以外、つまり世の中に出回っているインタビューに基づいた話は全て疑ってかからなければいけない。そう考えると本書は、単なるインタビューのHow to本ではなく、コミュニケーションのHow to本としても読むことができるかも知れない。
(819字)
もくもこさん (8i41afur)2023/1/21 02:09削除
本のテーマ(概要)を初めに書き、その後に著者がどのようにインタビューについて考えてるのかどう切り込んでいくのかに入っていく、という構成が読みやすいです。
さん (8i3wm1q9)2023/1/21 20:31削除
冒頭のかっこ書きがとても印象的でした。会話との関連性についても述べられており、インタビューをとても身近に感じることができました。
s
sososoさん (8hlne9f4)2023/1/23 09:12削除
紹介文の構成がとても読みやすい構成になっていて自分も参考にしたいなと思った
菅原羽南さん (8k1s7udc)2023/1/27 14:19削除
インタビューの舞台裏 ーー永江郎『インタビュー術!』(講談社現代新書、2002年)

「世界はインタビューでできている。」
現代のテレビ番組や新聞や雑誌も、その多くはインタビューによってできている。インタビューそのものが番組や記事にならなくても、そのベースにあるのは人に聞いた話だ。人の話を聞き、集め、整理・分析し、考え、まとめることによって番組や記事ができる。
インタビューがどのように行われ、私たちの身のまわりにある情報がどう作られているかが分かれば、メディアへの接し方も分かってくる。自分で考えて行動するためには、インタビューのことをもっと知らなければならない。
 本書はインタビューを「考える、する、読む」の三視点から読み解くことができる。前半部はインタビューに向かうまでの下準備からはじまり、タイプの違うさまざまな話し手からどのように話を聞き出し、そしてそれらをどのように構成して記事として形にするかなど、インタビューをする側のテクニックについて書かれている。また後半部は、過去に出版されたさまざまなインタビュー記事を例として取り上げ、著者がそれらについて推理・分析するという形をとっている。著者は「哲学からアダルトビデオまで」を標榜するフリーライターとして知られており、現在もインタビューや書評を中心に取材・執筆活動を行なっている。本書はそんな彼の仕事の舞台裏を垣間見れる一冊となっている。
 私たちは日々さまざまな人と関わり、何かを考えながら生活している。人から話を聞く(会話する)。自分の心を自分で聞く(考える)。日々がインタビューの連続のようなものだ。その過程で事実が良い意味でも悪い意味でも脚色され、本人の言葉ではないまま広まっている可能性もある。
「見えることが全ては限らない。」
自分の経験に基づく事実以外、つまり世の中に出回っているインタビューに基づいた話は全て疑ってかからなければいけない。そう考えると本書は、単なるインタビューのHow to本ではなく、コミュニケーションのHow to本としても読むことができるかも知れない。
(819字)(最終版)
返信
岩崎史也さん (8i3w1ebh)2023/1/20 12:18 (No.674962)削除
ヤクザには何が必要なのか?       廣末 登「だからヤクザを辞められない 裏社会メルトダウン」(新潮社 2021年刊行)

2022年現在、ヤクザの数は2万8000人。人口比に換算すると4人に一人がヤクザの計算になる。全盛期は18万人いたといわれるヤクザはすっかり衰え、生活に困窮する人たちが現れている。それほどにヤクザは「食えない仕事」になったのだ。私の紹介する「だからヤクザをやめられない 裏社会メルトダウン」では現代のヤクザがどう生きているか、暴力団を抜けたヤクザはどれだけがまともに暮らしていけるのかが克明に描かれている。特に第2章「元暴アウトロー」では、今でもヤクザの商売の大半を占めている薬物販売や詐欺などがかかれている。ヤクザといってもルールはあり、薬物の使用はご法度だ。しかし、それはあくまで組内、団内の話であり組を抜けてしまえばそのルールは適用されない。それで逮捕されたとしても刑務作業でもら言える金額は雀の涙程度で出所できたとしても待っているのは元の生活。1度は更生を考えても薬や詐欺などで稼いだ金額で送っていた生活を考えると馬鹿らしくなり結果元の生活に戻ってしまう。この負のループの中で生まれた子供は親以上に深刻で、親が元ヤクザだから保育園にも入れない、公的な支援を受けられないなど様々なハンデを背負いアウトローに走ってしまう。暴対法などが施工されヤクザが暮らしにくくなった現在にとって彼らは社会に生きることを否定されているといってもいいといったようなことをこの本から読み取ることができた。社会のシステム的に悪を排除するのは至極まっとうなことだがその子供だけでも救済することはできないのだろうかよ言った考えが頭に浮かんだが、それをするにはどうしても法律の改正が必要になる。そうなれば民意としては「国は我々ではなく社会不適合者を優遇するのか」といった意見になり結局誰も救われない。この問題を解決するにはどうすればいいか、結局ヤクザには何が必要なのか、私にはわからない。(780)
あかべこさん (8hjyqclq)2023/1/20 15:22削除
改行をするともう少し読みやすくなると感じた。また、2万8000人のヤクザは人口比換算で4人に一人ではない。恐らく2万8000人が正しいと読み取れるが、多くの人が混乱してしまうため修正する必要があると考える。また、誤字が目立つ。これらの問題は読み直せば修正できていたはずなので書き終えた文章を一度読み直すことを心がけるようにした方が良いと感じた。
メタキンさん (8hn35llv)2023/1/20 16:40削除
本の内容で自分が印書に残った章の一部を分かりやすく説明していて、ヤクザの社会の厳しさについても分かるレビューでした。
ただ、もう少し改行するともっと読みやすくなると思います。
トトさん (8hlf0395)2023/1/26 09:32削除
改行があるともっと良くなると思います!それから岩崎さんの考えももっと知りたいと感じました。
本のだからヤクザは辞められないというタイトルだけ聞くとヤクザってそんなにいいものなのか!?と思ってレビューを読み初めましたが良い意味での辞められないではなく悪い意味だったのだということが伝わり面白い構成だと思いました。
ムロさん (8ho1qpjs)2023/1/26 18:29削除
ヤクザをやめられない流れが端的に描かれておりわかりやすかった。しかし、改行がされていなかったり、読点が少なかったり、「もらい得る」が「もら言える」になっていたりと所々読みにくい箇所があったため、そこを工夫すればさらに魅力的なレビューになると思った。
限界突破さん (8hmqoosw)2023/1/26 21:46削除
紹介している本のテーマであるヤクザについて分かりやすく書かれているが、いくつかの段落に分けるともっと読みやすくなると思った。また、自分が読んでみて考えたことなどが入ると、もっと説得力のあるブックレビューになると思った。
低い城の男さん (8io52kyh)2023/1/27 13:05削除
句読点がもっと多いと良いと思います。
返信
池田紗希さん (8htw7uxs)2023/1/20 13:54 (No.675055)削除
日本人の日本人による日本人のための日本語 ――石黒圭『日本語は「空気』が決める 社会言語学入門』(光文社新書、2013)

日本語は世界の中でも特に難しい言語だと呼ばれる事がある。そんな中で、皆さんは「上手な日本語」とはどういう物だと考えるだろうか。この本の著者、石黒圭氏(一橋大学国際教育センター・言語社会研究科准教授)は、その場の空気を的確に掴み言葉選びをする「ふさわしい」日本語こそが、上手な日本語だと語る。
 冒頭での上手な日本語とは?の問いかけに対し、「正しい」日本語と答えてくれた方はいただろうか。私もこの本を読むまでは、正しい敬語や言葉選びをすることが上手な日本語であると思っていた。しかし、社会言語学の立場からすると、あるのは「ふさわしい」敬語だけ。そして、その「ふさわしさ」を決める社会的なルールは、正しいか正しくないかのルールではなく、話し手のアイデンティティ(世代や方言等)や、話し手と聞き手の関係(上下関係や親疎関係等)、その場の空気によって変化する緩やかなルールなのだ。
 さて、ここまで社会言語学と日本語の結びつきをずいぶん強調して話してきたが、そもそも社会言語学とは、主に英語圏で発達してきた学問なのである。そのため、文法も表記も違う日本語話者の我々にとっては、つまずいてしまう点が多い難しい学問だった。しかし本書では、日本語の例を中心として基本的な述語が丁寧に説明されるなど、社会言語学の概念が身近に感じる工夫が施されている。また、章ごとに「質問が上から目線、と言われてしまいました。なぜですか?」や「なぜジャイアンは『おれ』で、スネ夫は『ぼく』なのですか?」などのQに対して、著者がAを出し図や例を用いて解説していくのも、この本が易しいと感じるポイントだった。
 最近ではグローバル化が進み、新しい単語が続々と増え日本語がさらに複雑になっていく。そんな中で、人とのコミュニケーションが噛み合わないという経験をしたことのある人もいるのではないだろうか。本書はまさに、そんな現状に戸惑う現代日本人のための「日本語の教科書」と言えよう。(814字)
さん (8hn4n92a)2023/1/20 14:30削除
最初の問いかけをうまく拾って読み手を共感させながら文章を展開しているのがとても良かったです。後半で、難しい内容に手が出しにくい人へのフォローもされていて親切な文章だと感じました。
カヌレさん (8hk1tkzn)2023/1/20 14:57削除
この新書を紹介するのに必要な要素が的確に述べられた文章だと思いました。「上手な日本語」とは何かが初めて読む人にもわかりやすく示されていることに加え、身近に感じる工夫についても書いてあることで本に親しみが持てるようにしているところが良いと思いました。
蒼穹の竜さん (8hk0l1ap)2023/1/20 15:55削除
「上手な日本語」について問いかけをして、説明をすることで、文章に入り込みやすくなりました。Q&Aであることや図や例を用いた解説である事が表記されているため、本の読みやすさが伝わってきました。
メタキンさん (8hn35llv)2023/1/20 16:19削除
冒頭での問いかけ、次の段で問いかけの解説など、読み手が読んでいて楽しめる展開でよかったです。社会言語学と日本語の関わりや本の中で出たドラえもんの例も書いてあってこの本の良さが分かりました。
もくもこさん (8i41afur)2023/1/20 23:15削除
はじめに問いかけを入れることで、読者にこれからどんなことを伝えるのかわかりやすく書かれていて読みやすかったです。本の内容も分かりやすくまとめられており、とっつきやすいものであることが伝わりました。
えだまめさん (8hlpmoie)2023/1/26 21:11削除
この本を読んだことにより、自身の考えがどう変化したのかを順を追って説明されているので、理解しやすかった。
最後のまとめも綺麗にまとまっていて良いと思う。
味噌味の筋肉さん (8lpki4t3)2023/1/27 12:25削除
問いかけによって本の内容がわかるのでいいと思った。私も同じ本を書評したので雰囲気がガラッと違うため面白かった。まとめ方もすっきりとしていて読みやすかった。
低い城の男さん (8io52kyh)2023/1/27 13:04削除
多くの日本人が疑問に思うような事柄を最初に述べて導入を行うのが上手いと思いました。
返信
小林奈菜子さん (8hk1tkzn)2023/1/14 20:01 (No.669908)削除
自分だけのハッピーエンドをーー若桑 みどり『お姫様とジェンダー:アニメで学ぶ男と女のジェンダー入門』
(ちくま新書 2003年)

 幸せとは「結婚し家庭をもつこと。」
 現代において、それだけが幸せではないという人が増えつつある中で、未だに結婚への憧れは輝かしく、世間に溢れている。なぜこれほど結婚が幸せの定義として私たちを取り巻いているのか、ディズニープリンセスからその根源と、ジェンダーとはなんなのかを探る。

 まずジェンダーとは、文化的・社会的につくられた性差であり、広汎な領域をもつ思想。いわば、性差による「ものの見方」である。
 著者は、東京芸術大学卒業後、女子大でジェンダーの教鞭を取っていた。1935年生まれで、戦後の日本を生きた彼女は社会に出て働く女性に向けられた厳しい目を知っている。そんな著者が生徒たちと授業で、プリンセスアニメに対し双方から意見を述べ合う形式で本書は構成されている。
 題材は白雪姫、シンデレラ、眠り姫である。3作とも美しく、働き者な女性が主人公で、王子様と結婚しハッピーエンドを迎える。まとめると、女性は美人で気立てが良く、家事に勤しんでいれば結婚という幸せが得られるということだ。これは「家事は女の仕事である」「結婚こそが幸せだ」という刷り込みで、夢を見せるアニメがこれでは、幼いながらに決めつけられた女性像の暗示にかかってしまう。それでも尚、大量にプリンセスストーリーが消費されるのは、家父長制(社会や家庭で男性が中枢の権力を握ること)の影響が大きいだろう。男は仕事、女は家庭というような固定的な役割分業の仕組みを浸透させるのにプリンセスストーリーはうってつけだった。加えて結婚コンテンツでは「素敵な結婚」だとか「母になれない不幸な女」と囃し立てる。こうしたものが女性を家庭に閉じ込める風潮として国が築いてきたものだ。
 また、男性に関してもジェンダー的見方が必要だ。王子でも桃太郎でも、男性は自分でアクションを起こし、幸せを掴みにいかなければならない。「男らしさ」という名目で個人の性質に関係なく、逞しさや責任感を求められる。

 互いに「らしさ」に縛られず、自由に生きるため、ジェンダーの知識を得るべきだ。そして本書はまさしく入門に相応しい一冊だ。(866字)
あかべこさん (8hjyqclq)2023/1/20 15:52削除
()書きで単語の意味を補足している点が良いと感じた。また、ジェンダー問題として女性ばかり挙げられる事が多い現在であるが最後に男性に対しての問題も挙げている点がとても魅力的だと感じた。
椎名遥さん (8hjyfbyy)2023/1/20 22:28削除
文章の構成がわかりやすく、読みやすいと感じた。「ジェンダー」の定義を初めに書いてしまい、わかりやすくかみ砕いた表現で説明していることが、内容の理解を助けているとも思う。
主食かぼちゃさん (8k1s7udc)2023/1/21 01:02削除
ものすごく読みやすい文章でした。強調したい言葉を「」で表したり、意見とそれに対する事実・根拠が明確で、文章に説得力があることがいいと思います。
リョウ・ヒョウヒョウ・ビンビンさん (8htw7uxs)2023/1/24 09:54削除
著者の経歴だけでなく、それによりどのような知見を持っているかも書かれていたため、説得力が増していると思いました。また、最初に「幸せ」と「結婚」が強調されていたので、その結びつきを念頭に置くことができ、ジェンダーに対する問題意識を明確に捉えながら読み進めることができました。読者が共感しやすい、良いブックレビューだと感じます。
トトさん (8hlf0395)2023/1/26 10:04削除
どういう背景を持った作者が書いた本なのか分かりとても説得力があると感じました。
また人々が持つ幸せの定義みたいなものはどんな背景で形作られてしまったのかもよく伝わってきました。
えだまめさん (8hlpmoie)2023/1/26 20:38削除
難しい言葉には説明がなされていて、全体的に主張がまとまった読みやすい文章だった。
初めの言葉は「幸せとは」の部分から全てかぎかっこの中に入れても良いような気がする。
味噌味の筋肉さん (8lpki4t3)2023/1/27 12:39削除
自分が読んでいて分かりにくい単語には()づけで説明が入っているので分かりやすく、心遣いを感じた。現代のジェンダー問題について本の中で掘り下げているところをもう少し見たかった。
低い城の男さん (8io52kyh)2023/1/27 13:01削除
一般の人でも分かりやすいように難しい単語には解説をつけていて配慮があっていいと思いました。
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